自毛植毛とは?
自毛植毛とは、自分の毛髪を使って薄毛を治す方法で、薄毛になりにくい側頭部から後頭部の毛髪細胞を採取し、薄くなった部分へ移植する医療技術です。
自毛植毛と人工毛植毛との違い
人工毛植毛とは、人工の毛を頭皮に植え込んでいく方法のことです。
人工毛を利用しますので、自毛植毛より手術時間が短く、ドナー(採取する毛)の範囲を気にすることなく好きな本数を植毛することができます。
すぐにイメージ通りの髪を再現できるというメリットもありますが、人口毛は数年で使えなくなってしまうので、定期的に補毛しなければなりませんし、その度に頭皮の状態が悪くなると共に、コストもかかるというデメリットもあります。
更に、異物反応が起きる、毛根部分が頭皮に埋め込まれたままの状態になる、植毛部位の頭皮が固くなる。などの問題点を多く抱えており、米国では、トラブルが多発した為に法律で禁止されています。
一方、自毛植毛は、自分の毛を移植するので、拒絶反応は起こりません。
移植した毛髪はいったん抜け落ちますが、毛根は生きていますので、ヘアサイクルの成長期に入ると毛髪が成長し始めます。
しっかりとした太い毛が生え揃うまでには半年から1年ほどかかりますが、一度根付いた毛根からは、ヘアサイクルに従って毛髪が抜けたり生えたりを繰り返しますので、メンテナンスは不要ですし、ランニングコストもかかりません。
自毛植毛の手術の流れ
一般的な自毛植毛の手術の流れです。
(術式によって多少異なる場合がございます)
カウンセリング
最初に、専門医によるカウンセリングを行います。
カウンセリングでは、ご希望のヘアスタイルなどによって、こまかな移植計画を練ります。
また、手術の説明や手術中の注意事項なども確認します。
ドナー(移植するための毛髪)の採取
ドナー部分となる後頭部に局所麻酔をし、毛髪を毛根ごと採取します。
皮膚の縫合
ドナーを採取した部分の頭皮を縫合します。
傷跡は髪の毛に隠れてほとんど見えなくなります。
ドナーの株分け
採取したドナーを株分けします。
株分けは、1〜3本単位で行われます。
移植部位の作成
毛髪を移植する部分にホール(穴)やスリット(切れ目)を作ります。
移植
株分けした自毛をホールやスリットに植え付けます。
ドナー採取の時同様、痛みはほとんどありません。
術後のアフターケア
最後に、後頭部の縫合部分に圧迫止血、保護の目的で包帯をします。
翌日には包帯を外すことができ、術後10日〜2週間で抜糸をします。
クリニックや術式によっては、翌日から洗髪可能な場合もありますが、植毛した毛髪が根付くかどうかは術後2週間が大切と言われていますので、クリニックの指示に従い経過観察を行います。
術後の髪の発育
植毛した毛髪はいったん抜け落ちますが、毛根は生きていますのでヘアサイクルに従って再び毛が生え成長します。
髪が伸びて馴染むようになるまでには半年から1年ほどかかりますが、毛根が一度定着してしまえば、自分の髪の毛として長い寿命が得られます。
自毛植毛のメリットとデメリット
自毛植毛は医療行為ですので、メリットとデメリットを十分理解する必要があります。
自毛植毛のメリット
- 移植完了後は、日々のメンテナンスが不要です。
- 移植した毛根からは、生涯にわたり髪の毛が生え続けます。
- ランニングコストがかからないので、トータルでみれば、かつらやその他の増毛法と比べて経済的です。
- 自毛を毛の流れに沿って移植するので見た目が自然です。
- 周りの毛と同じように、移植した毛も加齢とともにグレーへと変化します。
- 人工毛植毛と違い、自毛を移植するので拒絶反応が起こりません。
自毛植毛のデメリット
- 移植できる毛髪の本数には限界があり、広範囲にわたる植毛の場合は2回以上手術を行う必要があります。
- ドナー採取部に傷跡が残ります。
- ショックロス(移植した毛の周辺部分で、今まで生えていた毛髪が抜け落ちてしまう現象)が起こる可能性があります。
- 術後、経過診察や抜歯のために何度か通院する必要があり、術式によっては しばらく洗髪ができないので家でゆっくりと過ごす時間を取れない人には難しいです。
- クリニックによって技術の高低があるので、信頼できるクリニックを探す必要があります。
ここでは、一般的に言われている事柄を挙げましたが、
実際に自毛植毛の手術を受ける際には、専門医によるカウンセリングを受け、ご自分が納得するまでデメリットについても説明を受けるようにしましょう。
眉毛やまつ毛へのプチ自毛植毛
自毛植毛は、頭髪から頭髪だけでなく、眉毛やまつ毛にも行うことができます。
また、手術などでできた小さな傷跡にも行うことが可能です。
ただし、移植された毛髪は、身体の他の部位に移っても元の性質を持ち続けますので、通常の眉毛やまつ毛が一定の長さになると伸びなくなるのに対し、植毛した眉毛やまつ毛は伸び続けます。
従って、眉毛やまつ毛に植毛を行う場合は、植毛後のお手入れが必要となります。